世間はオリンピックで沸き立っているようですが・・・。
先日の女子52kg級柔道で、絶対王者と目されていた選手が、まさかの2回戦敗退。しかも1本負けだけにいかんともしがたい。2回戦敗退のため敗者復活戦への道も閉ざされた。
試合後、壇上から降りると獣が叫ぶがごとくの号泣。会場からは拍手とともにコールが起こったが、違和感を覚えた。泣き叫ぶ姿は、駄々っ子のようで、ある意味見苦しく、トップアスリートの姿ではなかった。
もちろん、一般人にはわかりえない、大会までの言い知れぬプレッシャーや身体的な手術の影響など、擁護すべき点は随所にあるのだろう。がしかし、泣き叫ぶ姿に見苦しさが強調され、同情を呼ぶものではなかった。報道は一様に「かわいそうに」という論調だが、負けは負けである。
競馬の世界では、1cmのハナ差でも負けは負け。2着以下はたたえられることはない。
勝負なのだから、勝った負けたは必ずある。「勝てば官軍」で、いいように吹聴することもあるが、負けた時こそ、潔く事実を認めきれいに去って欲しかった。
その後、兄が金メダルを獲得して矛を収めたが、優勝後のインタビューで「誰にメダルをかけてあげたいですか?」(おそらく、妹にと言わせたかったのだろう)という下種な質問をして、「家族に、まずは両親に」と冷静に語った兄の度量に感心させられた。一生懸命戦った選手に、お涙頂戴的な報道を交えるマスコミにも考えを正してほしいと思う。伝える側が、正確に事実を伝えないと、真実の勝者が浮かばれない気がする。