競馬予想屋のタラレバ日記 番外編

 < 競馬場での思い出 >

 部屋の整理をしていたら、昔、妻と競馬場に行った時の写真が出てきた。2枚ある。

 1枚は、冬用のコートを着ている。

 サクラスターオーが4コーナーで故障発生し、メジロデュレンが勝った有馬記念だったと記憶している。ユーワジェームスとの連勝複式馬券は、万馬券だった。当然のごとく馬券はハズレ、好きだったサクラスターオーの故障に傷心の中、帰りの電車へ乗り込んだ時に、おじさんが「競馬で家建てた奴なんていないよ。」とボヤいたのが、やけに強く印象に残っている。

 もう1枚は、いつだっただろう。

 ダービー、いや、おそらくオークスの日だったような気がする。意気揚々と競馬場に赴いて、大勝ちして何でも買ってあげると言いながら、勝った記憶はほとんどない。

 僕は、妻とともに府中競馬場にいた。

 その日も軽くなった財布に悔しさを詰め込んだ時、当時、わりと好きだった柳ジョージのミニライブが、レース終了後に開催されることを知った。馬券は当たらなかったが、せめてミニライブでも見て、得した感を妻と一緒に味わいたかった。

 柳ジョージがステージに表れ、彼独特の嗄れ声が響きライブは始まった。何曲か演奏を終えて、最後の曲だったろうか。彼の代表作ともいえる「雨に泣いてる…」が流れた。

 Weeping In The Rainと4回繰り返す歌の出だしが、やけに耳に残る。

 馬券が当たらず雨に泣いているでは、まるで泣きっ面に蜂だなぁ・・・なんて思いながら、ステージの後ろに輝く夕日がまぶしかったのを覚えている。

 あの時、妻の心に幸せはあっただろうか。今となっては、怖くてとても聞けない。

 

 

 ※ちなみに、柳ジョージさんの曲には、「微笑の法則 ~スマイル・オン・ミー~」というポジティブな歌もあります。