競馬界では、俗に「馬7分騎手3分」と言われるが、クリスマスイブの有馬記念は「騎手7分馬3分」の逆転現象が起きた。
勝ったのは、武豊騎手のドウデュース。まさに「あっぱれ!」の一語に尽きる。
レース前のパドックを見る限り、ジャスティンパレスに落ち着きと風格が感じられ、まず負けないだろうと密かに確信していたのだが。
レースは、逃げると思われたアイアンバローズが出負けして、タイトルホルダーが先手を取る。ここで、大外枠のルメール騎手スターズオンアースが1コーナーを利して、すっと2番手のポジションをキープ。「うまい、うますぎる、十万石まんじゅう」と言ってしまいそうになるくらい絶妙だった。この瞬間、ルメール騎手の騎乗技術の確かさとうまさに、勝たれたかもと観念した。
◎を打ったジャスティンパレスを探すと、なんと最後方の位置取り。いくらなんでも後ろ過ぎるだろう・・・。ジャスティンパレスの少し前をドウデュースが楽しそうに走っている。
3コーナーから4コーナーにかけて徐々に上がっていくドウデュースに対して、ジャスティンパレスは最後方のまま。何をしてるんだ、一緒に上がって行けよ。
4コーナー先頭はタイトルホルダー、内からスターズオンアースが上がっていく。ドウデュースは、2頭を追う3番手で馬場の真ん中を駆け抜けてきた。最後の直線は、2頭がタイトルホルダーを交わし、ゴール前でドウデュースがスターズオンアースを競り落とした。タイトルホルダーが3着に粘る。◎ジャスティンパレスは、ようやく追い込むもシャフリヤールと接戦で届かずの4着。
このとき、思い出したのが武豊騎手がオグリキャップで制した有馬記念。道中の展開は少々違うが、4コーナーで先頭に並びかける勢いで進み、最後まで押し切った勝利と酷似しているように感じた。まさに、天才と言われるにふさわしい騎乗だった。さらには、クリスマスイブに行われた有馬記念3連覇なる称号までついてきた。
それに対して、横山武史騎手の騎乗ぶりには憤懣やるかたなしである。はっきり言って「へたくそ!」。菊花賞で3着に負けたソールオリエンスの騎乗後のコメントも気に入らなかったが、今回もしかりである。騎乗技術うんぬんではなく、若さと勢いだけで追っても4着が精いっぱいというところか。もっとも、年間100勝以上してリーディング3位なのだから、それなりの騎乗技術はあるのだろうが、馬の力だけで勝っているのではないか、と思うほど無様な乗り方だった。
終わてみれば、イクイノックスが勝ち、リバティアイランドが2着となったジャパンカップの4・3・5着で決着がついたことになる。皐月賞馬ソールオリエンス、ダービー馬タスティエーラには、ともに川田騎手・R.ムーア騎手と一流どころが乗っての結果だけに、今年の3歳馬は強くないという論調もうなずける。
さて、勝ったドウデュース。勝利直後に、関係者から「来年、もう一度フランスへ行こう」という言葉が出ている様子。天才・武豊騎手が凱旋門賞を制覇するシーンを、是非とも見たいものだ。