小心者の株式投資話

迷走する銘柄選定

 モメンタム理論に埋没していく中で、こつこつと過去3年間の株価変動と上昇率の表をEXCELで作成する日々が続いた。(地味な作業は意外と嫌いではない)

 

 EXCEL表が完成し、「選び抜いた」!と過信した銘柄たちに期待した。

 

 なのに、徐々に株価を上げていくどころか、急激に株価を下げるものが続出し、ひどいときは買値の1/3まで落ち込み、いわゆる塩漬け状態になる惨状だった。

 しばらく様子を見るも、値上りの見込みは皆無であり、泣く泣く半額状態で損切処分に走った。損切は、非常に悪い精神状態をもたらす。寝ても起きても株価が下落していく悪夢に見舞われる。

 

 意気消沈の精神状態の中で、負けを取り返さんとばかりに、今度は「急騰銘柄」を追いかけた。さらに急騰した時の皮算用で、一時的な気分的な快楽を得られたものの、急騰の次に来るのは暴落だった。

 「今売るか?」「いやまだだ」「もう少し待てば上がるだろう」と何度も売り時を逃すうちに、みるみる資産が減っていく悪循環から脱せなかった。

 急騰するということは、お客さんでパンパンに膨れ上がった満員電車に無理やり乗ろうとする行為と一緒で、無理に乗った頃にはすでに過熱感のピークは過ぎ、あとは次の駅に着くたびにイナゴたちが逃げ惑う様に似ている。

 今だから冷静に言えるけど、入り込んでいるときは、状況が見えなくなっていた。そして、結局は「モメンタム銘柄」と同じ道を辿っていったのだった。

 

 

 キャピタルゲインに距離を置こうとして、次は、「高配当銘柄」を集めだした。インカムゲインでしのごうという発想だった。

 しかし、インカムゲインは、日本株の場合、年に1,2回の配当機会しかない。おまけに、「高配当銘柄」は、権利日を過ぎると極端に株価が下がるものが多く、配当金より多く下落するという悩ましい現象にさいなまれた。

 1万円の配当金欲しさに、数十万投資して、値下がりして3万円失うという、ていたらくにガックリうなだれることが多かった。

 

 こうして、混沌とする銘柄選びは、しばらくの間、迷走したままだった。

 

  ・・・つづく