事始め
株式投資を始めたのは、2019年の夏頃。
いま思うと、仕事で体調に悪化をきたし、ひいては退職の決断をした時期と重なる。
退職後、全てから解放されたわけではなかったが、社会から疎外されないために、「何かをしなければ」という切迫感から逃れられず、株式投資をしようと決めたように思う。
株式投資は、以前から興味はあった。
誰もが思うように、「株で儲けて億万長者になれたらいいのに」なんて漠然と考えたりもしていた。
ただ、しがない社会人生活に浸っている身の上で、いつか失敗して大損するかもしれないという恐怖感にビビり、手をこまねいていた。
そんな中で、興味の赴くまま「バフェットの銘柄選択術」なる本を購入し、一度だけ読んでもみるなど、わずかながら投資についての学習を試みた時もあった。
初期投資は、いくらだったのだろう。古い記録をたどってみたが、退職に至るまでの思い出したくない記憶が邪魔をするのか、いま一つ判然としない。
それはさておき、当時は、銘柄について訳も分からず、「会社名が面白い」とか、「自分が生活上知っている店」などを投資の動機としていた。それゆえ、投資目的である利潤は、当たるも八卦、当たらぬも八卦状態が続いていた。
退職から日々を重ねると、「何かをしなければ」という切迫感から少しずつ解放されつつあった。日々の散歩やプールでウォーキングなど身体を動かすことが楽しく思えた(一時的だったけれど)。
その他、図書館に通い本を読む時間が増えてきた。そんな中で、株式投資における意欲は、当初の勢いから徐々に薄れていった。
ある時、数か月放置状態にあった株の株価が、たまたま、本当にたまたま運よく上昇していたことに気がついた。時期は、2019年秋から2020年夏頃にかけて。キャピタルゲインが得られた2銘柄は、「自分が生活上知っている店」の代表格だった。
記憶があいまいなのだが、元手が2倍くらいになって、単純に「株って儲かるんだ!」と独り言ちたのを覚えている。
おまけに、優待の特権にも気付かされた。ひとつは、買い物した3%がキャッシュバックされ、もうひとつは、食事券が年2回送付されたのだ。
優待は、兎角“おまけ”と言われるが、年間配当とあわせると、株の保有者にかなり有用な制度であると驚いた。
キャピタルゲインと優待に味をしめて、再び株式投資への意欲に火が付いしまったのは言うまでもなかった。
・・・つづく